VS~Honey~
驚く私を結衣は不思議そうに見てくる。
「美紗だって気がついてるでしょう?」
「えっ、あ、まぁ。……結衣はなんで?」
「だって……「おっはよー」
結衣が話かけたとき、後ろから声をかけられ、思いっきり肩を叩かれた。
うっ、痛いなぁ。
私は叩いた犯人を軽く睨みつけた。
「痛いよ~、陸くん」
「へへ」
陸は悪びれず笑う。くそ、憎めない笑顔だ。
「陸は朝から元気ね」
隣で結衣が呆れた声を出した。
って、えっ? 今、陸って呼び捨てした?
私がキョトンとしていると、ああ、と頷く。
「私と陸は幼なじみなの」
「幼なじみ!?」
同時にうなずく二人。
そうだったのか。
だから親しげに名前で呼んでいたというわけだ。
あ、だから?
「だから佐々木晴紀の本性知ってるの?」
「知ってるっていうか、陸のMarsの話とかで気付いたんだよ」
「結衣は鋭いからな」
苦笑いの陸。
鋭いだけじゃなくて、陸が分かりやすかったというのもあるんじゃないだろうか。
「本人にも言ったらあっさり認めてたよ」
「へぇ~」
認めたんだ。
あっさり認めたんだ。
こんなに素を隠しているのに、指摘したらあっさり認めるの?
なにそれ。
なんか、モヤモヤする。
なんでか胸がモヤモヤするぞ?
なぜかわからない感情に心のなかで首を傾げる。
「おはよう」
すると後ろから晴紀が爽やかな声と笑顔で近づいてきた。