VS~Honey~


「あ、おはよう」
表の学校バージョン晴紀だ。


「どうかしたの? 早く教室いこうよ」


にっこり微笑んでいる。
なんとも家とは大違いだなぁ。

この本性をどのくらいの人が知ってるのだろう。
結衣みたいに指摘したらあっさり認めるの?

それとも結衣、だからとか?

あ、またモヤってした。

なんだこれは!

訳のわからない感情にムッとしていると、こちらを見ていた晴紀とバッチリ目が合った。


「相川さん。英語の課題ってやってある?」

「えっ。あ、うん」

「悪いけど、見せてもらっていいかな?」


晴紀は手を合わせてかわいくお願いのポーズ。

あざとい。
でもかわいい……。
なにこれ。
家だと、『見せろや』ぐらいの勢いで人の部屋に入ってくるくせに。

反則ばっかり。

こんなところでお願いされたら断れないよ。

仕方ないなぁ。


「いいよ。後でね」

「ありがとう」


嬉しそうにニッコリ微笑む。
うわぁ~……。

表の顔だとわかっていても、その笑顔には思わずドキッとしちゃうよ。

本当、反則だからっ!

アイドルスマイル禁止にしてほしい!




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