VS~Honey~
「先生!?」
突然の状況に驚愕する。
だって、先生は私をギュッと抱きしめていたのだから。
えぇっ。な、何これ!?
どういうこと!?
訳がわからずただジタバタともがいていると、耳元で低い声がした。
「少しだけ、このままでお願いします」
先生の声が耳から直接脳へ響くようだ。
その近さを感じて全身が鳥肌を立てる。
「何言って……。離して、先生? やめて」
しかし先生は私の言葉を無視し、一向に拘束を解こうとしない。
「先生っ!」
大きな声をだし、離れようと腕の中でもがいた。
やだ、どうしよう。
先生が先生でない。
なんだか凄く怖い。
「僕はあなたを気にいっています。初めて会ったときからあなたを見ていました」
「だからって、これはちょっと。離して下さい」
しかし斎藤先生は離そうとしない。
その力の差に気付き、先生は男だと再認識する。
今、目の前の人は先生ではなく男として接して来ているのだということが良くわかったのだ。
「やだ、先生。離して」
「離したくない」
益々腕に力を入れる先生に、ついには悲鳴を上げようとした瞬間。
「なら、俺が離してあげましょうか? 斎藤先生」