VS~Honey~


「で?急に来て何か用」

「いいだろ、別に」


レオは急に来た俺にぶつぶついいながらもリビングでくつろいでいると香りの良いコーヒーを出してくれる。

律儀なやつ。

レオは俺らとは別の高校に通う三年生。
基本は家が一番好きなタイプだから、ピンの仕事がなければ必ず家に居ると思っていた。


「勉強は教えない」

「教わる気ねーもん」

「じゃぁ、何?」

「何が? そんなに急に来たのが嫌だったのかよ」


迷惑そうなレオに軽く睨む。
急に来るのは初めてのことじゃない。
そんな邪険にしなくたっていいじゃないか。
すはと、レオは首をカクンと傾げて「そうじゃない」とこっちを見つめる。


「晴紀なんかあった?」

「……何で?」

「見てればわかる」


見かけによらず鋭いな、こいつ。
俺はレオの視線に苦しくなり、コーヒーをすする。


「ちょっと、モヤモヤしてて」

「やっぱり」

「でも別に大したことじゃねぇよ」

「じゃぁ、話してみて」

「……」

「今日、晴紀がイライラしていた原因は?」


原因。
それはわかっている。


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