VS~Honey~

「な、何?」


ドキンとして少しだけ後ずさる。


「お前どうしてあんなに怒ったんだ?」

「は? だって、急に抱きしめられたら誰だって……」

「怖くなかったんだろ?」

「え、それはまぁ……」


そこは素直にコクンと頷く。


「じゃぁ俺に抱きしめられて、嫌だったか?」

「えっ?」


何? なんでそんなこと聞くの?
戸惑う私に反して晴紀の目は真剣だ。

嫌だったかと聞かれれば。


「わからない」


わからない。嫌とかじゃなくて、そんなマイナスな感情ではなかったのだけれどただどう言葉にして良いかわからない。

急にあんな抱きしめられかたをして、ドキドキし過ぎて、私……。

変になりそうだった。


「顔、赤いぜ」

「!」

「とりあえず、怖くも嫌でもなかったってことだよな?」


晴紀は勝手にそう結論付け、にっこり微笑むとおやすみ、と部屋を出て行った。


なんで!? なんで!?

どうした、私!?

晴紀に抱きしめられたことは、嫌でもなかった。

怖くもなかった。

え? つまりはそれはどういうこと!?

考えれば考えるほど余計に思考がぐるぐる回る。

パニックになりそう。

私、どうした!?





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