VS~Honey~

鉄平の隣には座らずに、テーブルを覗き込む。


「曲を作っていたんですか」

「あぁ、うん。普段は違うけどね」

「実は今度のコンサートに向けて俺と鉄ちゃんと晴紀の三人と他の二人とでユニット組むコーナーを作ることになったんだー。しかも曲は自分達で考えるの」

「へ~」


曲を自分達で考えて作れるなんて知らなかった。
アイドルってそんなこともやらなきゃならないんなんて大変だ。

でもだからこそファンは尚更喜ぶのだろう。


「美紗。ここ、英語にしたいんだけど」


晴紀は私を見ずに手招きをして呼ぶ。
真剣な晴紀につられるように、どれどれと隣に座って歌詞カードらしき紙を覗きこんだ。


「あぁ、これは……」


指をさされた部分の歌詞を英語にかえる。
ついでに発音も簡単に教えた。


「なるほどな。やっぱりここは英語の方がしっくりくるぞ」


晴紀が顔を上げ、陸達に笑いかける。
その瞬間に晴紀から甘い香がする。

ハッとして、胸がドキンと鳴った。

何ドキドキしてるんだ!? 私!?


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