VS~Honey~
昨日のことが頭をよぎる。
それだけで更に赤面し、心臓が速く高鳴った。
「あ? どうかしたか、美紗?」
隣に座っていたせいで、近い距離で晴紀が振り返った。
「!」
ベシッ!
距離が近い! と思った瞬間、思わず晴紀のおでこを手で叩いてしまった。
「イテッ。……おい、こら何しやがる」
突然のことに晴紀がジットリと睨む。
げっ、ヤバイ。つい手が出ちゃった。
どうしようと慌てたとき、救いの手のようにピンポーンと家のインターホンが鳴った。
「誰か来たっ!」
神の助けと言わんばかりに、これ幸いに私は玄関へ向かう。
「あ! 逃げるなっ!」
晴紀の声が後ろから追いかけるように聞こえたが無視。
そのまま玄関へ降り、ドアノブに手をかけた。
「あ、メールがきてる……。マズイ! 美紗ちゃん! 開けちゃダメだっ」
鉄平の制止の声と、私が玄関を開けたのはほぼ同時だった。