後悔の後・・

確かに・・千佳は俺に欲しいものを催促したこともない、料理だって毎日俺のために美味いもの作って・・俺の両親にも俺を立てるようにつくして・・・

そういえばあいつにおれから贈ったものなんてないな・・

いずれ別れる・・愛のない結婚、夫婦と言ったことを気にしているのか・・？

そのせいで俺に何も言えないのか・・


だとしたら、俺から聞いてあげなきゃな・・千佳とはいずれ別れる・・初めはそう思ったのに・・今は別れることに抵抗を感じる・・できれば千佳のことを知りたい、そう思い始めていた。



駅で千佳と待ち合わせをする・・


待ち合わせに来た千佳はいつも違う感じがした・・

清楚な黄緑色のワンピースでうっすらとした化粧・・派手ではないが人妻とは思えない女性だった。何人かの男性の視線を感じる・・



「お待たせ」


「ああ・・行こうか・・」


こうやって一緒に出かけるのは初めてだな・・

考えたら俺・・酷い夫だよな・・どこにも連れていかず、ほっておき、何も買ってやらない・・いくら期限付きの関係でも・・



行き先はしゃれたイタリアンの店だった・・

前に玲子と来たことのある店だった・・ここに来るまで忘れていたが・・

気づかれたらまずいよな・・



千佳は魚介のパスタとサラダを頼み、俺はカルボラーナを頼んだ。


「千佳は魚介類が好きなのか？」


「ええ・・好きなほうよ・・」


「そうか・・・」

また千佳のことが知れて嬉しく感じた・・。


料理を食べ・・食後のコーヒーを飲みながら俺は聞いてみた。

「なぁ・・千佳・・」


「何？」


「その・・欲しいものとかないのか？服とか・・」


「どうしたの？急に？」

「いや・・普通は妻はねだったりするって同僚から聞いてさ・・千佳は欲しがらないからさ・・」