超短編 『当選』
俺は妻と離婚をしたと同時に、当選した権利を実行することにした。

実行することによって、当選者であることのすべてを失う事になるのだが。


しかし、そろそろ当選者であることにも疲れてきたのだ。

自分の好きなことだけでは飽きてしまうのだ。

誰も私の行動を諌めもしないし、笑顔だけの連中に囲まれているのも面白くなくなってきた。


もうやり残すことはないと思うと当選者は皆、その権利を実行する。


私もその権利を実行する旨を当局に伝えた。



そして、今までの人生を振り返ってみた。
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