超短編 『当選』
わたしのいる地球という惑星には、むかし『ヒト』という種族がいたらしい。

我々はその『ヒト』に作られたため、彼らの歴史を学び、彼らと同じ文明を作ることを心がけてきた。

しかし、我々は『ヒト』にはなれなかった。

彼らが持っているもので、我々には持てないものがひとつだけあった。


それを唯一得る事が出来るのが、当選者なのだ。


もう数百年生きてきたが、そろそろ良いだろう。

超合金と特殊皮膚で出来た身体は、いつまでも錆びないし腐らない。

まして病気などしない。


手入れをしていれば、永遠の命が続く。


感情を持ってしまったロボットには、永遠は長すぎる。


自ら死を選べないロボットにとって、『寿命』という賞品は最高のものだ。


さあ、そろそろ寿命が尽きても良い頃合いだ。
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