幻想

再会

「ごめんね」

すぐそばで少女の声がした。

真也は顔を上げた。

レイだった。

「しんを悲しませるつもりはなかったの」

「レイ…いや、ゆりだな」

「ええ」

ゆりは右手を差し延べて、そっと真也の涙を拭った。

おそろしく冷たい手だった。

「どうしてももう一度しんに会いたくて。会って話がしたくて」

「俺も…会いたかった。今まで忘れていたくせにって思うだろうけれど」

「ううん、そんなことない」

ゆりはかぶりを振った。

「他の女と一緒になった俺を恨んでいるだろうな」
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