彼の元・彼女の元へ
「さぁどうぞ!いっぱいあるからたくさん食べてね~」

「手早いね、料理好きなんだ?」

「大好きよ!食べさせるのはもっと好き!」

「食べられるのは?」

「なにそれ?またオヤジな事言ってないで早く食べてみて!」

大好きと言うだけあって、堪らなく食欲をそそる良い匂いがする。
海産物たっぷりのスープを口に運ぶ…

「美味しい?」


「こっ…これは…うっ…うぅ…」

「どうしたの?骨でもあった?」

「……う…うぅ…」

「えっ?もしかして何かアレルギー持ってるの?大丈夫!?」

胸を抑えて小さなテーブルに突っ伏す私の側にミューが心配気に寄り添う。

「ねぇ大丈夫?」

と…ミューの顔が私の顔に一番近づいた瞬間…

「うまい!最高に旨い!こんなう…」

バッチーン!!

「サイテー!」

また…も電撃が目の裏を走った…

「いって~…なんだよあまりに旨いからちょっとオーバーアクションで気持ちを伝えただけだろ!」

と言いながらミューを見る。

「泣いてんの…ゴメンちょっと昭和のエナジーを伝えたくって調子にのっちゃったみたい…あは」

そうたじろきながら言うと
ミューはめそめそ泣いていたかわいらしい目をキッと強め

「昭和のエナジーだかなんだか知らないけど…今度その手のタチの悪い冗談言ったら…」

無気味に間があく…

「もう一回海に沈めて…上から漬物石落としてやる…」

「…おっ!漬物もつけてるの♪たべたいなぁ~」

「わかった?」

「あはは…」

「わかったの?」

と、目の前にあったフォークを振りかざしながら良い返事を催促する…

「はい…わかりました!以後厳に注意致します。はい!」

「…よろしい…」

そう言うと黙ってキャビンの奥へと向かう。

「あ、あのう…ミューさん?どちらへ?」





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