彼の元・彼女の元へ
「知らないっ!大大だいっきらいっ」

そう言うとプイっとキャビンから出て行ってしまった。
「大大だいっきらいって……そんなに怒られる様な事言ったかミュー?」

当然返事は返らない…。

しかし…ちょっと過剰な反応だな…。

繊細?

ではあるな…確かに。

でも…それにしても過敏だ…。

気にかかる言い回しといい…どうもひっかる…。

あらためて考えれてみると自然ではないよな?

今の状況は…

大海原のど真ん中に美女がたった一人で停泊?

何の為に?

いや別に大きなお世話か、船が、海が好きだからだよな…。

そう言い聞かせてもなお払拭し切れない違和感…。

まさか私を助ける為にずっと待っていたわけでもあるまい。

そうさ!

ミューに聞けばいいだろ?そんなこと!

簡単なことだ…。

そう自分に言い聞かせるものの、なぜか心の奥に不安が澱んでいた。

しかし私もぐずぐずしてはいられない。

無謀な試みに終わってはしまったがミューのおかげで命だけは助かった。

もう一度手段を考え目的を果たさなければ、もう二度とこの腕に抱く…抱くという表現は適切ではないかもしれないが私の手の届かぬ者となってしまう。

もはや一刻の猶予もないであろうが方法すら見当たらない。

自然と頭がうなだれ苦悩の表情となる。

しかし…まずは生きる事、生きて考え抜き実行する事だ。

私はうなだれた頭をゆっくりとあげ決意を新たに中空を見据えた。

視線の先にミューがいた。

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