ハツコイ
「…昂!?」
「ん、俺」
「どうしたの??」
「お前こそ」
夕日が私たちを照らす
昂はなぜか悲しそうな表情をしていた
「トイレ行こうかなって
この階、トイレットペーパー無かったの」
苦しい言い訳だってくらいわかってる
この階と上の階しかトイレはない
それなのに私は下の階に向かってるんだから
暫く見つめあう
「…瑠美…」
名前を呼ばれた
昂の真っ直ぐな茶色の瞳に思わず目を逸らしてしまう
「…何??」
「……何もねぇ
早くトイレ行けよ」
ねぇ…今、何を言おうとしてたの??