ハツコイ

「バタンッ」

屋上の扉がやけに頭に響いた


瑠美は河野先輩が好きだ

遊園地の時、河野先輩を見た瑠美の顔が曇るのを見た

その事を観覧車に乗っているとき聞こうとした…

…でも臆病者の俺には出来なかった


その日から薄々勘づいていた

いや、もしかすると付き合う前から勘づいていたのかもしれない…


…そして、それが最近、確信に変わった

瑠美は無意識の内に河野先輩を目で探していた

俺が隣にいても…


でも当の本人は気づいていなかった…
いや…気づかない振りをしていたのか、どっちかだ


でも…それでも、わかったとしても、別に…言わなくてもよかった

その方が俺は瑠美の隣にいれて“彼氏”と言う特権を与えられ続ける

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