ハツコイ
すると、鞄を持っていない方の手に自分とは違う体温を感じて肩が動いた
「俺ら恋人」
その言葉が耳元で囁かれる
たった四文字が頭に響いた
それと同時に、私が羨ましいと思っていることを昂が気付いたことに嬉しかった
「そうだね」
いつもと同じ廊下が光って見える
いつもと同じ玄関が光って見える
いつもと同じ帰り道が光って見える
いつもと同じ風景が光って見える
私は今、人生で一番幸せな登下校をしているかもしれない
そして…世界一幸せな時間を過ごしている