オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「だったら、オレのことも名前で呼んでもらわないとね」


テレかくしにおどけて言うと、


「……うん」


膨らんでいた北原のほおに、えくぼが刻まれた。


そして――。




「……貴……文」




恥ずかしそうなぎこちない口調で、北原から――大好きな女の子から、初めて名前を呼ばれて。


オレは身体の芯までしびれてしまった。


それだけでも十分だったのに、北原はゆっくりとオレを見上げて、言った。


「……大好き」


オレは――。

















思わず、北原を抱きしめていた。

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