オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「好きだよ」


オレは香奈を抱きしめた。


香奈のサラサラの長い髪――。


春に咲く、花の香りがした。




「……ほんとに帰んないと、ヤバイ」


名残惜しく身体を離すと、 


「『好き』って初めて言ってくれたね」


香奈は潤んだ瞳でオレを見上げた。


「うれしい……」


春の花のように微笑む香奈――。


こみ上げる愛しさを抑えられず、


オレは、もう一度、


――キスした。

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