オレの宝物。それは君の笑顔【完】
部活を引退すると、香奈の部屋で一緒に受験勉強をするようになった。


2人きり――とは、限らないが。


今も香奈は家事をしに行ってしまい、加納と2人だった。


「おだっちは、高校、どこ受けるの?」

「そんなの、南高に決まってるじゃん」

「……ねえ、知ってる? 南高サッカー部の恋愛事情」

「なに、それ」

「カノジョがいても、1年の夏までにはみんな別れちゃう、って」

「な、なんで?」

「練習で会う暇がないからでしょ。女の子は頻繁に会いたいものよ」

「…………」

「それに、香奈と違う高校で不安じゃないの?」

「え?」

「だって、香奈はあれだけ可愛いんだよ。変な虫もいっぱい寄ってくるよ。

そばにいて守ってあげなくてもいいの?」


そばにいて、守る――?


オレは、ハッとした。


そんなこと、思ってもみなかったからだ。

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