オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「人前に出るの苦手? でも、昨日は堂々とピアノ弾いてたじゃん」


オレが話を続けると、北原はゆっくりと顔を上げてオレを見た。


その、あまりにまっすぐな瞳に、オレは一気に舞い上がってしまった。


「ピアノ、めっちゃ上手いね。

オレ、ピアノとか音楽とかべつに興味ないけど、なんかマジで感動したし。

大丈夫だって、こんなのただ立ってればいいんだから。緊張するだけ損だよ」


舞い上がって早口になるオレを、北原はじっと見つめたまま。


少し潤んだ瞳で――。


オレたちの視線が初めて交わり――。


「あ、えっと」


オレは言葉を失い、北原から目が離せなくなってしまった。


無言で見つめあうオレたちの間に、


「では『美少女ナンバー1』と『イケメンナンバー1』の登場で~す」


アナウンスが流れ――。


オレたちはハッとして目を逸らした。

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