オレの宝物。それは君の笑顔【完】
1カ月後、登山遠足があった。


オレは、香奈ちゃんと洋人と、そして加納と同じ班。


「登山」とは言っても、低い山。


むしろハイキングと言った方がいいくらいだったが、途中、木が倒れていて通りにくい場所があった。


他の班の男子が女子に手を貸していたのを見て、


「大丈夫?」


香奈ちゃんに向かって手を差し出した。


この手につかまって、というアピールだ。


「あら、ありがとっ」


しかしオレの手をつかんだのは、加納。


オレの手を利用して倒れた木を超えると、


「はい、香奈。私につかまって」


見事に邪魔をしてくれた。

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