オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「ありがとう」


オレに向けられるはずだった香奈ちゃんの笑顔を奪い取ったばかりか、オレをチラリと見て挑戦的な笑みを浮かべた。


加納は、おそらく、オレが香奈ちゃんを好きなことに気づいているのだろう。


なにかにつけ邪魔をしてくるのだ。


まるで、アイドルを守る、敏腕マネージャーの如く。


そして、これからもその手を緩めるつもりはない――。


その鋭い目は、そう告げていた。


加納の宣戦布告に、オレは怯んだ。


ただでさえ、カレシがいるというハンデがあるのに。


香奈ちゃんと一番仲の良い加納にガードされてしまったら、オレの恋は玉砕決定だ。


「そろそろ昼飯食おうぜ」


オレの憂鬱さになどまったく気づかず、洋人がお気楽に言った。

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