オレの宝物。それは君の笑顔【完】
加納はまだ口にご飯が残っているくせに、最後のそれを口に放り込んだ。


「あら~、ごめんなさ~い。もう食べちゃった~」


ひ、ひど過ぎる。こんな仕打ち、アリ?


オレがいったい何したっていうんだ。


ただ、密かに香奈ちゃんを想っているだけなのに……。


茫然とするオレを気の毒に思ったのか、


「あの、よかったら、これ、食べて」


優しい香奈ちゃんは、オレに弁当を差し出してくれた。


「え、いいの? いただきます」

「あ、ちょっと」


加納に邪魔される前に口に入れると、それはもう、美味。


「美味し~い」

「…………」


どうだ。へへへーん。


加納の悔しそうな表情にオレは優越感を覚えた。

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