オレの宝物。それは君の笑顔【完】
翌日。


「ねえねえ、見て~。これ、私が撮ったんだけど~」


加納は、ノートくらいの大きさに引き伸ばした写真を洋人とオレに見せた。


「お~、いいカンジじゃん」


洋人が思わず声を上げてしまうほど、確かによく撮れていた。


とても幸せそうに微笑む、香奈ちゃん。


そして、その瞳が向かう先には。


――織田。


すぐ隣で、愛おしそうに香奈ちゃんを見つめ返していて。


お互いを想う気持ちがいやというほど伝わってきた。


「これ、中3の文化祭で、香奈とおだっちがぶっちぎりで『ベストカップル』に選ばれたときの写真なのよ」


これは、逆襲だ。


昨日の登山遠足で肉巻き野菜を得意げに食べたことに対する、逆襲。


しかも、かなりの攻撃力。


加納には「容赦」というものがないのだろうか。


……響子じゃなくて、凶子だ。

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