オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「ほら~、やっぱり来た~」

「タカ、こっちこっち」


しかし、オレを待っていたのは、裕太、英治、テラと、知らない3人の女子だった。


「……川田サンは?」

「ごめん、ごめん。川田サンがいるって言えば絶対来ると思って」

「実は、彼女たちが、どうしてもタカに会いたいって言うもんだから。あ、オレの中学の同級生なんだけどね」


裕太とテラが浮かれているのを見て、無性に腹が立った。


そして、川田サンに会えると浮かれて香奈を置いてきたオレ自身にも――。


「オレ、帰るから」

「ちょ、ちょっと待ってよ。せっかく来たのに」

「そうだよ、久々に部活が早く終わったんだからさ~」

「今日、香奈の誕生日なんだ」

「え……あ……ごめん」

「じゃあな」


苛立ちを抑えつつ、店を出た。


そう。


今日は、香奈の誕生日。


それなのに、オレはなにをしてるんだ。


自分自身に罵声を浴びせながら、香奈の家に戻った。

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