オレの宝物。それは君の笑顔【完】
文化祭の代休も終わって、朝練前にジョギングをしていると、いつものように北原たちが現れた。


すれ違おうとした時、


「おはよう」


北原の声がした。


え? 何、今の。


……もしかして、オレに言った?
 

状況が把握できたのは、すでに通り過ぎてしまった後。


あわてて振り返ったが、北原の背中に「おはよう」と言い返す勇気はなかった。




翌日。


もし今日も北原が声をかけてくれたら、絶対に返事をしようと決めていた。


いかに爽やかに「おはよう」を言うか、昨夜鏡の前で練習もした。


そして、本番。


「おはよう」


北原に見つめられて、


「あ、お、……うん」


オレはまともに挨拶を返せなかった。

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