オレの宝物。それは君の笑顔【完】
1月の連休明け。


さすがに、オレは北原と短い挨拶を交わせるようになっていた。


硬派だって――硬派だからこそ、挨拶はしっかりしなければならない。


しかし、その日やって来たのは、いつも北原と一緒に登校している加納響子(かのうきょうこ)ひとりだけ。


「お、は、よ、う」


いつもは言わないくせに、加納はハッキリとした滑舌と立派な腹式呼吸で声をかけてきた。


それも、オレをからかうような表情で。

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