オレの宝物。それは君の笑顔【完】
ただひとり、正人を除いては。
「ほんとに別れるのか?」
「……そうするしかないだろ」
「北原に本当のこと話して、センパイたちが引退するまで待っててもらうっていうのは?」
「…………」
本当のことを話せば、きっと、香奈は待っていてくれるだろう。
ただひたすら、会いたい気持ちを抑えて。
だが。
誕生日に「ほんとは、寂しい。もっと、会いたい」と言って泣いた香奈。
そのときよりも長い時間、そんな気持ちを抱いたまま待たせるなんてオレにはできない。
「香奈には、本当のことは話さない」
「え?」
「もう、待たせたくないんだ」
「…………」
「……もう、香奈に寂しい想いはさせたくないんだ」
悲しいくらい爽やかな新緑の風が、2人の間を吹き抜けた。
「……そっか」
正人は静かに肯き、
「……絶対、全国、行こうぜ」
オレの背中を力強く叩いた。
「ほんとに別れるのか?」
「……そうするしかないだろ」
「北原に本当のこと話して、センパイたちが引退するまで待っててもらうっていうのは?」
「…………」
本当のことを話せば、きっと、香奈は待っていてくれるだろう。
ただひたすら、会いたい気持ちを抑えて。
だが。
誕生日に「ほんとは、寂しい。もっと、会いたい」と言って泣いた香奈。
そのときよりも長い時間、そんな気持ちを抱いたまま待たせるなんてオレにはできない。
「香奈には、本当のことは話さない」
「え?」
「もう、待たせたくないんだ」
「…………」
「……もう、香奈に寂しい想いはさせたくないんだ」
悲しいくらい爽やかな新緑の風が、2人の間を吹き抜けた。
「……そっか」
正人は静かに肯き、
「……絶対、全国、行こうぜ」
オレの背中を力強く叩いた。