オレの宝物。それは君の笑顔【完】
6月頃から、香奈ちゃんはなんだか元気がなくなって。


数日後、サラサラのきれいな髪が、ショートになった。


長い髪と同時に香奈ちゃんから笑顔が消えてしまい、


失恋――?


オレを含めた周りのヤツらは、まずその単語を思い浮かべたが。


香奈ちゃんと織田の仲の良さは有名だったし、あんなに可愛い香奈ちゃんがフラレるなんて、ありえない。


その可能性をすぐに否定した。




「柴崎、私に聞きたいことあるでしょ」

「え、あ……うん」

「もみじ堂のケーキセットおごってくれたら、答えてあげてもいいけど?」

「……おごります」




その日の放課後、もみじ堂という洋菓子店の喫茶ルームで、加納は、香奈ちゃんたちが別れた理由を教えてくれた。


「……それ、マジ?」


オレは、信じられなかった。


香奈ちゃんより、サッカーを選ぶなんて。


織田のことが理解できなかった。

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