オレの宝物。それは君の笑顔【完】
思わぬ散財は痛かったが、オレはさっそくその日の夜、駅に行った。


加納が言ったとおり、7時半頃、香奈ちゃんが姿を見せた。


「送ってくよ」


前触れもなく現れたオレに、香奈ちゃんは驚いたようだが。


オレは返事を待たずに一緒に歩き出した。


どうして来たの――?


香奈ちゃんに質問されないように、


「今日、丈治、おもしろかったよね。あいつ、中学の時も――」


オレはひたすらしゃべり続けた。


2年生になってから同じクラスになった河合丈治(かわいじょうじ)――オレとは中学も部活も一緒――のオモシロ恥ずかしいエピソード。


香奈ちゃんが少しでも笑ってくれることを期待して。

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