オレの宝物。それは君の笑顔【完】
それから数日間、オレは香奈ちゃんを待ち伏せして送って行った。


さすがに丈治のネタも尽き、沈黙が流れた瞬間、


「……もう、私のこと、待たないで」


香奈ちゃんがつぶやいた。


「私……もう誰も好きにならないから」

「…………」


悲しげな瞳は、心の扉。


香奈ちゃんは完全に心を閉ざしていた。


「……なんで? そんなこと言うなよ」


香奈ちゃんを待っている男は、ちゃんといるんだから。


「あんな思い……もう、したくないの」


香奈ちゃんの頬に、涙の滴が落ちた。


無防備な涙は、織田のせい。


どうして、そんなにアイツを想うの?


なんで、オレじゃダメなの?

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