オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「……友達で、いい」


その涙を、オレはそっと指で拭った。


「オレは、『友達』でもいいよ」

「…………」

「友達でも、涙を拭いてあげることはできるから」

「…………」

「北原が泣くなら、オレが涙、……拭いてあげる」

「…………」

「オレは、北原と一緒にいたいだけ――ただ、そばにいたいんだ」


オレは胸の内をぶちまけたが。


「……お願い。明日から、待たないで」


オレにそう告げると、香奈ちゃんは走り去ってしまった。


香奈ちゃんの心の傷は、思ったよりも深そうで。


オレは香奈ちゃんへの態度を改めることにした。

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