オレの宝物。それは君の笑顔【完】
別れてすぐ香奈が背中まであった長い髪を――オレのために伸ばしてくれていたキレイな髪をバッサリ切ったと噂で聞いた時、最初の後悔がオレを襲った。


その後悔を紛らわすため、オレはサッカーに打ち込んだ。


サッカーに夢中になっている時だけは、香奈のことを思い出さずに済んだからだ。


ところが、最近、サッカーをしていても、ふと、虚しくなる瞬間があった。


無性に寂しくなる夜があった。


香奈に会って。


抱きしめて、キスしたい。


香奈の笑顔が胸を過ぎり、香奈への愛おしさで胸を焦がした。


こんなにも、オレの中の香奈の存在は大きくて。

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