オレの宝物。それは君の笑顔【完】
……逢いたい。


香奈に、逢いたい――。


ふと顔を上げると、雲に隠れていた夕陽が顔を出し、辺りを赤く染めた。


まだ、夕方。


まだ、今日は終わらない。


そう伝えようとしているかのように、夕陽は赤く燃えていた。


……そうだ。


今日は――香奈の誕生日は、まだ終わっていない。


エイプリルフールの約束もまだ間に合う。


そして、――オレたちも。


香奈と、やり直そう。


香奈が微笑んでくれるなら、サッカーだって……きっと、やめられる。


オレは立ち上がり、香奈の家へと急いだ。

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