オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「……やっぱり、柴崎には、無理だったのかしらね」

「え?」

「香奈の、新しい恋の、相手」


加納は真顔でため息をついた。


「目標に向かって努力してる姿」

「……はい?」

「香奈は、そういうのに弱いのよね」

「…………」

「なんだかんだ言って、織田はサッカーに関してはかなりの努力家だったし」

「…………」

「もう2年近く一緒にいるけど、柴崎ってそういうの、ないよね」

「…………」


何も言い返せなかった。


図星だったからだ。


オレは今までなんでも適当にやり過ごしてきた。


努力しなくても大抵のことはできたし、努力してまで手に入れたいものなど何もなかったからだ。


「今のままだと、多分、無理だよ。香奈の気持ち、振り向かせるの」


オレは加納に厳しい宣告を下された。

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