オレの宝物。それは君の笑顔【完】
擦りむいた膝の手当てを終えてクラスごとの待機場所に戻ると、


「シバ、2位なんて、すげえじゃん」


丈治たちが大盛り上がりでオレを迎えた。


「すごくなんかないよ」


2位なんて。


1位じゃなければ、意味がない。


優勝できなきゃ意味がないんだ。


「謙遜しちゃってんの~?」

「ほら、北原もなんか言ってやれよ」


丈治が香奈ちゃんを連れて来たが、


「謙遜なんかじゃないよ」


オレは背を向けた。


転んで優勝を逃すなんて、カッコ悪いにもほどがある。


あまりにも自分自身が情けなくて。




それ以来、香奈ちゃんと話すことはもちろん、顔を見ることさえできなくなってしまった。


せっかくの隣りの席も、今は、ただ、窮屈なだけ。

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