オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「「――あ」」


病院の入り口で、出会ったのは。


――香奈。


別れてすぐショートにしたという髪は肩まで伸び、オレを見るぎこちない瞳にも香奈と会わずにいた月日の長さを実感した。


オレは香奈にかけるべき言葉を見つけられず、そして、それは香奈も同じらしく、お互い無言のまま病室へ向かった。




担任の病室に入ると、徹と亮太、土居がいて、オレはホッとした。


「2人そろって登場なんて、タカたち、相変わらずラブラブだな~」


オレと香奈が別れたことを誰も知らないようだったが、今は、見舞い中。


あえて訂正はしなかった。

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