オレの宝物。それは君の笑顔【完】
5年生の時も6年生の時も、バレンタインデーには、タカにチョコを渡す女の子がたくさんいた。


チームのみんなに羨ましがられると、タカはテレかくしで「記録更新~」なんておどけていたけれど。


そのチョコをひとつ残らずお母さんにあげていることを私は知っていた。


甘いものが苦手だったから、という理由のほかに。


チョコをくれた女子の中に――そうじゃない女子の中にも、タカの気を惹く子はいなかったから。


昨年のバレンタインデーまでは――少なくとも中学に入るまでは、タカにはまだ好きな人がいなかった。

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