オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「いつからつき合い始めたんだよ」


沈黙を避けるため、何気なく聞いてみた。


ほんとに何気なく聞いただけなのに、


「……バレンタインデー」


バレンタインデー――?


香奈の返事に、オレの鼓動は速まった。


「……香奈の誕生日の時は?」


ドキドキしながら聞くと、香奈は首を横に振った。


それじゃ……。


あの時の柴崎の言葉は、嘘だったのか。


あの日、柴崎に会わなければ。


あの時、柴崎が嘘をつかなければ。


オレと香奈は、今頃――。




――他人を信じるな。大事なことは、本人に聞け。


加納の教訓――。


ふと、頭に浮かんだ。

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