オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「……じゃあね」


家の前で、香奈に別れを告げられた瞬間、


「香奈」


オレは香奈の腕をつかんでいた。


「オレと、やり直そう」

「……え?」


香奈は驚いた表情でオレを見た。


「……だって、貴文には好きな子がいるんでしょ」

「あれは、香奈のことだよ。あれは、みんな、――香奈のことだったんだ」

「じゃあ……じゃあ、どうして、オレのことは忘れて、なんて言ったの?」

「あの時は、そうするしかなかったんだ」


オレは真実を打ち明けた。

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