オレの宝物。それは君の笑顔【完】
<広大>


東高は進学校。春休みといえども、補講で毎日学校へ行かなければならない。


香奈ちゃんに会えるのはいいが、オレたちは未だに「デート」と呼べるようなことをしていなかった。


いつもは補講の後、香奈ちゃんを送って行くのだが、今日、香奈ちゃんは中学時代の先生のお見舞いに行くらしい。


一緒に帰れないことを残念に思いながら、丈治と洋人とで駅前のマックに寄った。


「オレのことを想ってくれてる美少女、絶対どっかにいると思うんだけど、なかなか出会えないんだよ」

「多分、一生出会えないで終わるね」


丈治と洋人の会話を黙って聞きながら、オレは優越感に浸っていた。


丈治にも洋人にも、カノジョがいない。


だけど、オレには、あんなに可愛い香奈ちゃんが――。


ついついニヤケてしまい、


「あ、コイツ、北原とつき合ってるからっていい気になってるぜ」


丈治に額を平手打ちされて、


「悔しかったら、カノジョつくれよ」


負けずに丈治の額を叩き返した。

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