オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「オレは、織田が北原よりサッカーを選んだことが許せなかった。

だからつい、北原はもうオレのカノジョだって嘘ついちゃったんだ」


「…………」

「もしかして、織田はあの時、サッカーやめる気だったのか?」

「……ああ」


香奈ちゃんは茫然としていたが、織田の返事を聞いて表情を変えた。


「今は?」

「今?」

「北原とサッカー、……どっちを選ぶ?」

「……香奈って言ったら香奈をオレに譲ってくれるとでも言うのか?」

「譲るなんて、できないよ」

「だったらそんなこと聞――」

「――北原はもう、オレのカノジョじゃないから」

「え?」

「だから、これからどうしようと2人の自由だけど、ただ、オレは織田の本音を聞く権利があるんじゃないかと思って……」

「……香奈の笑顔がオレのものになるんだったら、オレは――サッカーができなくなってもかまわない」


織田の返答に、オレは満足した。


「……それ、本気で言ってるの?」


ずっと黙っていた香奈ちゃんが、硬い声を出した。

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