オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「本気だよ。会えなくなって、わかったんだ。……どれだけ香奈が大切だったか」


織田も香奈ちゃんを見つめ返して。


この後は、きっと、ハッピーエンド。


オレは少し切なくなった。


「……そんな貴文、好きじゃない」


しかし、予想外の展開に、


「「――え?!」」


オレと織田は同時に声を上げた。


「柴崎くんも、貴文も、わかってない。

貴文にサッカーやめてほしいなんて、私は一度も思ったこと、ない。

それなのにどうして、私のためにサッカーやめるとか、やめろとか言うの?」


オレと織田とを交互に見比べてから、


「私が好きな貴文は」


香奈ちゃんは織田に視線を止めた。


「サッカーができなくてもいいなんて、絶対に言わない」


凛とした、香奈ちゃんの瞳。

< 224 / 233 >

この作品をシェア

pagetop