オレの宝物。それは君の笑顔【完】
だが、すぐにその表情を崩し、


「それに……全国大会に出るって……約束したじゃない」


まるで子供のように織田を責めた。


「そうだな……約束、したよな」


織田はふっと優しい微笑をもらした。


「約束守れるように、それから、また香奈に『好き』って思ってもらえるように、サッカー、がんばるから」

「…………」

「だけど、誤解しないでくれよな。サッカーがどうでもいいなんて、オレ、思ってないから」

「……うん」

「わかってくれたんなら――」


織田は香奈ちゃんに近寄って、


「香奈がいなくてもサッカーがんばれるように、おまじないかけてよ」


素早く、キスした。


「じゃあ、オレ、行くから」


呆気にとられる香奈ちゃんとオレを残し、織田は教室を出て行った。

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