オレの宝物。それは君の笑顔【完】
<貴文>


大会は、南高の優勝で幕を閉じた。


センパイはもういない。


解散後、香奈たちのところへ行った。


「香奈のおまじない、効果あっただろ?」


「……うん」


香奈は、はずかしそうに、まぶしそうに、オレを見つめた。


「じゃあ、ジャマ者は消えるわね。あ、おだっち、後でケーキ、よろしくね」


おどけて言うと、加納は背を向けた。


加納の姿が見えなくなると、


「久しぶりに会ったんだから、遠回りして帰ろうぜ」

「うん」


オレたちは駅とは違う方へと歩き出した。


「あ、香奈、目つぶって歩ける?」

「え?」

「競争しようぜ。じゃあ、まずはオレからね」

「ちょっと待って。私、やるなんて言ってない」

「いいから、いいから。もし、香奈が勝ったら賞品やるからさ」

「……もう」


オレは強引にゲームを始めた。

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