オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「あ、貴文、危ないよ」


香奈に注意されて目を開けると。


危うく土手に落ちるところだったが、それでもけっこうな距離を歩いていた。


「じゃあ、次、香奈の番ね」

「え~、私、やらないよ。怖いもん」

「しょうがねえなあ、じゃあ、特別に手つないでやるから」


オレが手をとると、香奈の表情がほんのり和らいだ。


川原の道――。


初めて手をつないだ花火大会の帰りの時のように、オレはドキドキしていた。



「……もう、貴文より長く歩いてると思うけど?」

「手つないでるぶん、長くしないと不公平だろ」

「……どこまで行けばいいの?」

「オレがいいって言うまで」

「え~」

「その代わり、勝ったら、豪華賞品ゲットだぜ〜」


目的地に着くまで、香奈にはどうしても目をつぶっていてもらいたかったのだ。

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