オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「いいよ、目、開けても」


オレは立ち止まって声をかけた。


「あ……」


開いた香奈の目に映ったもの。


それは、眼下に広がる一面の――。


コスモス。


やっと果たせたエイプリルフールの約束。




「じゃあ、これ、賞品ね」


細長い箱を香奈に渡した。


香奈の誕生石――青く澄んだ小さな石のついた、ネックレス。


香奈にはこれがいいよ、と加納が勧めてくれた。


「……キレイ」


香奈はそれを大切そうに手にとった。


手のひらの上で、青い石が夕陽に反射してきらめいた。

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