オレの宝物。それは君の笑顔【完】
「ああ」


「……今日、私の誕生日だよ」

「うん」

「これは賞品なんだよね」

「え? ああ、うん」

「じゃあ、プレゼント、ちょうだい」


いたずらっぽく言って、香奈はオレをまっすぐに見上げた。




香奈が思ってること、わかったよ。


オレは、そっと、香奈にくちづけた。




「香奈。オレと、つき合って」


中学の時はちゃんと言えなかった言葉。


オレは香奈の目を見て、はっきり伝えた。


「……貴文」


香奈の瞳がみるみる潤んで。


「……大好き」


優しく微笑んだ瞬間、涙がこぼれた。

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