オレの宝物。それは君の笑顔【完】

やっぱ、恋

<貴文>


2年生になり、オレは北原と同じクラスになった。


ちなみに、加納も一緒。先生を脅しているというウワサも、あながち……。


隣りの席、とはいかなかったが、バッチリ北原の横顔が見える席でオレは大満足。


「北原さんのカレシってすっごくカッコいいんでしょ~。今度、写真見せて~」


休み時間、なれなれしげな女子の声に、オレは反射的に耳を傾けた。


「……私、カレシなんていないけど?」


え――? カレシは……いない?


「でも、花火大会の時、北原さんがものすごいイケメンと一緒にいるの、見たって人がいるよ」


そうだよ。オレも、見たし。


「花火大会? ……それ、弟だと思う」

「弟?」

「うん。それに、響ちゃんも一緒だったんだけど。――ね」


北原の横には、いつも加納がいる。


「香奈にカレシがいるなんてデマ、誰が流したのかしらねえ」


不敵な笑みを浮かべる加納に、オレは直感した。


その張本人は加納だ――と。

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