オレの宝物。それは君の笑顔【完】
放課後、サッカー部の部室で、


「北原、カレシいなかったんだってよ」


トミが得意げに言った。


トミはオレと同じクラス。


北原のカレシの一件を、オレと一緒に聞いていたのだ。


「へえ、そうなんだ」


しかし、裕太たちは思ったほど乗ってこなかった。


「なんだよ、北原とつき合いたいって言ってたじゃん」

「カレシがいてもいなくても、北原は『高嶺の花』なんだって~」

「そうそう。頭の出来も違い過ぎるし。1年の時は、ずっとトップだろ」

「オレたちなんて、相手にしてもらえないよ~」

「東中で北原と釣り合うのって、高野くらいなんじゃね?」


高野――?


確か、同じクラスにいたような……。


「ああ、テストでいつも2番のヤツね」

「小学校の時、北原と同じピアノ教室に通ってたらしいぜ」

「優等生は、優等生同士。しょせん、オレたちとは世界が違うんだよ」


みんなの話を、オレは、ただ、黙って聞いていた。

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